ユビキタスとは

ubiquitous。「いつでも、どこでも、だれでも」が恩恵を受けることができるインタフェース、環境、技術のことである。 (それが何であるかを意識させない。見えない。)

ユビキタスコンピューティング、ユビキタスネットワーク、ユビキタス社会という言葉がよく使われる。

歴史

ユビキタスという言葉は、1991年に米ゼロックス(XEROX)社パロアルト研究所Mark Weiserが論文(The Computer for the 21st Century)に発表したのが最初といわれている。このとき彼は、ユビキタスという言葉の持つ『神の遍在』という意味を込めたわけではなかった。

究極のインタフェースの理念は、それが何台のコンピュータであるとか、どのように接続されているかといった事象とは別の概念であることを強調したのだった。

後に『遍在』という言葉が独り歩きしてしまったため、Weiserは"Calm Technology" という言葉を使うようになった。


■日本におけるユビキタスの萌芽(TRON)
Mark Weiserユビキタス論文より数年前の1984年に、坂村健(当時東京大学助手、現教授)はTRONプロジェクトを起こした。これが日本におけるユビキタスの始めとされている。

坂村健は、TRONプロジェクトで電脳社会を実現するものとして、『どこでもコンピューター』という考えを提唱した。これが、ユビキタスユビキタス社会を表現する言葉のひとつとなった。

TRONでは、電脳住宅などユビキタス社会につながる実証実験が行われた。

用語の起源

ラテン語でUbiqueとは、「いつでも、どこでも」を表す一般的な用語であるが、英語のubiquitousには、「神は遍在する」という宗教観がある。欧米では「唯一神」が遍在するのに対し、伝統的日本の神は八百万の神であるということで、日本的ユビキタスを意識した、やおよろずプロジェクト(2003年度〜2005年度)が生まれた。

今日では、ユビキタス社会に遍在するのはサービスであるとの認識から、ユビキタスと神を結びつけることはなくなった。



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