アクセシビリティ
語源は、accessibility = access(アクセス) + ability(できること)。アクセスのしやすさをいう。日本語では「アクセシビリティに配慮する」あるいは「アクセシビリティを高める」といった表現で用いられる。
ウェブページにおけるアクセシビリティ
ウェブページにおけるアクセシビリティは、そのウェブページが、高齢者や障害者も含めた、誰もが情報を取得・発信できる柔軟性に富んでいて、アクセスした誰もが同様に情報を共有できる状態にあること(あるいはその度合い)を意味する。
ウェブページの中には、ウェブブラウザや解像度を制限したもの、JavaScriptやMacromedia Flashを使用したものが多数存在するが、ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン(WCAG1.0)に基づいて制作されたウェブページでは代替情報の付加等により障害者も情報を取得可能にしている。
ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドラインについて
1999年5月にW3C WAIにより、WCAG(Web Content Accessibility Guidelines1.0)が勧告が出される。具体的には、画像や音声などには代替テキストによる注釈をつける、すべての要素をキーボードで指定できるようにする、情報内容と構造、および表現を分離できるようにするなどの方針が定められている
現在WCAG 2.0の策定が勧告となるべく進められている。
尚、日本では、2004年に、国内初のWebアクセシビリティに関する規格として、『JIS X 8341-3 高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス−第3部:ウェブコンテンツ』が公布されている。
ウェブアクセシビリティが実現してゆくこと
コミュニケーション情報(視力・聴力・発声)障害や自力移動運動障害による情報格差(デバイド)を軽減し、コミュニケーションから多くの人との交感を可能にする。このことは社会にinputされていない新たなインスピレーションを多くの人と共有できるということでもあり、新たな特性や感性を社会が受け取る可能性でもある。ウェブアクセシビリティがそういった礎になるかもしれない。
■下記のページで、全盲の方や、弱視の方、また肢体不自由な方達が、どのようにパソコンを操作し、ホームページから情報を得ているかが、動画で紹介されています。
- 「公共分野におけるアクセシビリティの確保に関する研究会」報告書の公表
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「動画」をクリックしてご覧くださいね。
留意点
- 画像への代替テキストへの認識の浸透。
- 重複する表記:ヘッドタイトルやメニュー一覧などを音声読み出し閲覧(スクリーンリーダー、音声ブラウザ、)でジャンプする機能。コード( 本文へジャンプ・・タイトル・メニュー・・・本文はじまり本文)
- 閲覧操作のためのリンク箇所を大きめにする。( tabindex や アクセスキーの使用もリンクのある箇所の選択には選択的に使われていくことが増えるだろう。)
- 文字の大きさを特殊なソフトを使用しなくても拡大できる仕様が望まれる。現状の汎用ブラウザでは、文字定義を絶対定義ではなく、相対(=可変)サイズで定義し、文字拡大ができるようにする仕様が適しているといえる。
- スタイルシートの解除やユーザスタイルシートへ対応した属性定義が望ましい。
- 色盲(第一、第二、第三、全色盲)のかたへの配慮を可能な限りする。赤・緑・黄・水色などにはウェブデザイナーは注意を払うべきである。
・課題
障害当事者の実情に即した対応を行うには、知識だけのアクセシビリティではなく、コミュニケーションや運動の不自由当事者を交えたアクセシビリティ改善を行っていく必要がある。
HTML、CSSなどのコーディング規格は、英語圏を中心に標準化されており、日本語の表現をそのままコーディングできない現状もある。
また、明確な基準がない中で、十分なアクセシビリティを確保していなくても「アクセシビリティに配慮した」という表現を行うケースもある。
Webアクセシビリティの大意は、「すべての人と情報の共有が可能であれ」という考えが基盤にある。アクセシビリティの取り組みは、技術が完成することを完了としない永いプロセスの中にある。障害当事者同士にもある情報格差の克服や参加の可能性の保持。 また、社会全体からは、未曾有の可能性の顕在化というバリューもあるといえる。
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