ユビキタス社会

2010年、ユビキタスによって世界が変わる

ユビキタスIDによるユビキタスコンピューティング

Mark Weiserの提唱するユビキタスコンピューティングでは、1990年代半ばから、アメリカを始め多くの国で爆発的な普及を見せたワールド・ワイド・ウェブが、基本的には家庭内のパーソナルコンピュータによる利用を想定していたことに対し、ユビキタスコンピューティングにおいては、ワイヤレスネットワークなどに支えられ、携帯電話端末やPDAなど様々なデバイスが接続されることが想定されている。

対して、坂村健の考えでは、あらゆるモノ(携帯電話やPDAなどの情報端末に留まらない)にコンピュータが組み込まれ、コンピュータ同士が協調動作するという事に力点が置かれている。それにより、人間はコンピュータの存在を意識することなく、高い利便性を得ることが出来る。具体的には、以下のような例が挙げられている。

  • 薬ビン自体にコンピュータを内蔵させ、併用すると著しい副作用のある薬を一緒に飲もうとすると、薬ビンから携帯電話に電話がかかってきて警告を発してくれる
  • ゴミになるモノにコンピュータを取り付けておき、焼却炉と交信を行い処理方法を決定する
  • 衣服にコンピュータを取り付け、体温を測定することで、空調を調節する

これらは、一般の携帯デバイスのように、人間の道具として従属(他律動作)するものではなく、自律動作をする一種のロボットであるとも言える。自律動作の側面を強調する場合や、高度な自律動作に関して、「ユビキタスロボット」と言うタームが使われる事もある。


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